Starfield 航星日誌

スターフィールドのプレイ日誌です。ネタばれあり。あしからず。

月(ルナ) - ソル星系 地球

航星日誌:23308.1

金星軌道にモアラの船はなかった。彼の残したメッセージを追って、地球の月にある廃スターヤードに向かう。

 

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再び惑星間軌道を遷移する。現在の惑星配置では、金星から見ると地球は太陽の裏側、合に近い位置にある。重力傾斜を見ると、木星経由で行くのが順当だろう。もちろん今どき重力スイングバイをして燃料を節約するようなコースを取る必要はないのだが、気分だ気分。

 

 

100にも及ぶ木星の衛星ひとつひとつを観測する時間はなかろうが、メジャーな衛星のひとつふたつ観測しても、モアラ・オテロは待ってくれよう。木星の昼側=太陽側に出ているカリストとイオに接近し、軌道上から資源データを取ることにした。

 

イオは周囲に密な岩石が漂っているだけの面白みのない衛星だったが、カリストでは軌道上で活動している自由恒星民の船に出会った。珍しく向こうからコンタクトされ、茶飲み話に付き合ったような感じだが、どうもアルタイル方面が騒がしいらしい。今回の件が落ち着いたら行ってみよう。しかしなぜ私をチャーリー3と呼んだのかは聞きそびれてしまった。そんなコールサインに聞き覚えはないのだが。

 

 

観測データによると、カリストには鉄とヘリウム3が豊富に埋蔵されているようだ。資源が必要となったら、掘削に来よう。

 

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そして、我々は月軌道に到達した。ザ・ムーン。ワンアンドオンリーの地球の月だ。ノヴァギャラクティク社のスターヤードも浮かんでいる。

 

 

正面に見える月の地形を確認する。ほとんど海(黒い部分)が見えないということは、我々は地球から見て月の裏側、ファーサイド上空を飛んでいるということだろう。右上と左上にそれぞれ特徴的な地形が見える。調べるとすぐにわかった。左上の中に島がある湖のような地形はツィオルコフスキー・クレーター、そして右側の比較的大きく暗い領域は、モスクワの海だ。

 

この位置関係だと、月の赤道はまっすぐ縦に走っていることになる。月の北極は右側、南極は左側だ。その地形は400年前に当時の連合国家が観測機を打ち上げ、写真を撮ったときと変わらない。短期間で人が住めなくなってしまった地球とは裏腹だ。

 

モーガンがつぶやく。地球の大気が宇宙に流出し始めてから、滅亡までのタイムリミットはわずか50年だった。このわずかな期間で人類を管理して宇宙に脱出させるために、コロニー連合が樹立されたのだ、と。UC政府の抑圧的な官僚機構がいまも続くのには、そうならざるを得ない理由があったのだ……。

 

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少し気分を変えよう。スターヤードでオテロに会う前に、もう少しだけ寄り道して月面に降りてみることにした。目的地はコンステレーションのロッジに置かれていた本で読んだ、アポロ計画の月着陸跡地だ。

 

マップ上では単にアポロ着陸点となっているが、場所は静かの海の南西の浅瀬。人類初の地球外天体着陸を果たしたアポロ11号の、その場所だ。

 

 

着陸地点は月の明暗境界線(ターミネーター)の夜側だったため、遺物は暗がりの中にぼんやりと立っていた。日が当たっていれば、きっとオレンジの耐熱膜がキラキラと輝いていたに違いない。アポロ11号の月着陸船イーグルは、帰還時に余計な荷重となる脚部分を切り離し、上段部分だけが軌道へと戻っていった。20世紀中葉、まだ非効率な化学燃料モーターしかなく、ギリギリ切り詰めた探査しかできなかった時代だ。

 

興味本位で着陸脚の上に登ってみると、そこに小さな月着陸船のスノードームが置かれていた。誰かのいたずらだろうか? 記念に持ち帰ることにした。

 

 

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驚いたことにこのアポロ11号の遺構のすぐ近くにも、巨大な工場が見える。月の土産がスノードームひとつというのも寂しい。実際何があるのか見物してこようと、300メートルほど離れた最寄りの一つに行ってみた。夜側にいるから放射線の心配もさほどないだろう。

 

 

システムによると、施設は打ち捨てられたエクリプティクの駐屯地だという。エクリプティクというのは悪評高い傭兵集団だと、どこかで聞いていた。しかし遺棄されているなら中を見ても構うまい。そう思って近づくと、真空露爆の倉庫からゴテゴテした宇宙服を付けた兵士が出てきた。なーんだ遺棄されてないじゃん。

 

エクリプティクは、近づいたら殺す的なことを言ってくる。その言葉、ついこないだ火星のロボットからも聞いたぞ? この世界では人もロボットもパーソナルスペースを大事にしすぎる。へいへいと後ろに下がって立ち去ろうとしたら、センサーに鉱物の反応が出た。基地施設の脇に、鉄鉱石が露出していたのだ。ま、石ころひとつとっても怒られまい。そうおもってレーザーカッターを取り出し、鉱石を掘り出した直後だった。施設の中のエクリプティクが何やら声を発し、同時に自動小銃の安全装置を外す音が聞こえた。

 

あー、ダメだったか。施設に近すぎたから? レーザーを発振したから? どっちにしろこれは……と、思うと始まった。マシンガンの掃射だ。これは、やるしかないのか。レーダーマップに次々と赤い光点が増えていく。みんな攻撃意図を持ったエクリプティクだ。なるほど喧嘩っぱやい。まったく無警告だったスペーサーよりは多少マシ、という程度か。

 

例によってモーガンはこちらの話を聞くまでもなく発砲を始めていた。この撃たれたら即撃ち返すスタイル、やめた方がいいと思うんだけどなあ。そう思いつつも、こちらもマシンガンの発砲を始める。今回は場所も広く余裕をもって動けそうだったので、前回の戦闘で手に入れたロングバレルの銃に持ち替え、物陰からきちんと当てるように心がけた。こうやって人殺しのテクニックも上がっていくわけだ。

 

 

襲い掛かる敵を排除しながら、基地内を探索していく。倉庫では禁制品という、何がどういう理由で禁止されてるのかわからないがとにかくそういう品物を見つけてしまった。

 

ほどなくして、3階建ての施設は制圧でき、まわりはまた静寂に包まれた。足元にはまた死体の山だ。ナムアミダブツ。せっかく崇高な宇宙開発発祥の地に来たというのに、なんとも血なまぐさい状況になってしまった。流れ弾、イーグルに当たってなけりゃいいけどなあ。

 

とんだ寄り道をしてしまった。月軌道に戻ろう。さあ、いよいよモアラ・オテロと面会だ。