Starfield 航星日誌

スターフィールドのプレイ日誌です。ネタばれあり。あしからず。

海王星停泊軌道 - ソル星系 海王星

航星日誌:23308.4

モアラを追うため、我々は地球からいったんシドニアに戻った。モアラはトラブル・メーカーだ。相応の準備が必要だ。

 

-

 

地球から火星軌道に戻ると、いきなりUCSecの警備艇に停船させられた。すっかり忘れていたが、月面で傭兵どもから禁制品の骨董だかなんだかをかっぱらっていたのだった。こんなものを発見できるとは大したセンサー能力だが、いったい何に反応したのだろう。地球由来の製品は特殊な電磁波でも出してるんだろうか。ともかく罰金を払い、禁制品は没収だ。

 

しかし不思議だ。禁制品探しで船のストレージを検めたはずなのに、そこに満載された別の荷物に、不信感を抱かなかったのだろうか。アサルトライフル、ハンドガン、ショットガン、レーザーライフル、都合40丁。それに投擲弾と手斧もゴロゴロ。過去3度の戦闘で入手した小火器でストレージはあふれんばかりになっていたはずだが……。

 

いや、こちらとしてもテロリスト用のサンタクロースみたいな船にするつもりはなかったのだが、戦闘に遭うたびに不足する弾丸を少しでも補充しようとすると、どうしても殺した相手から火器を奪うことになる。撃っては漁り、撃っては漁りを繰り返しているうちに、ちょっとした小銃小隊なら数個編成できそうな量がたまってしまった。海王星に直行せずわざわざ火星に立ち寄ったのも、装備の更新というより今ある装備を売り払うためだ。

 

警察署で禁制品の罰金を払うと、トレードオーソリティのオフィスに直行して武器を売れるだけ売り払った。トレードオーソリティは貿易管理局と訳されるが、政府機関ではなく独立した商業組織だ。明確に禁制品でなければ、たとえ拾った銃でも買ってくれる。店の金庫がカラになるほど売り払った。これでずいぶん身軽になった。

 

 

多少温まった懐で何を買うべきか、船の強化パーツは買える額なのだろうか……と思案しながら地下を歩いていると、ひとりの女性と会った。アンドロメダ・ケプラー。科学者だという。船のクルーとして働き口を探している奴らとは時々会っていたが、いままではカネがなくて雇えなかった。しかし今なら相応のカネが出せる。しかもこれから向かう宙域では、また空間戦闘があるだろう。操船スキルを持った人間は役に立ちそうだ。

 

思い付きで、ポンとカネを出して契約してしまった。決め手は名前だ。エチオピアの女王の名に、稀代の天文学者の姓。派手な名前は悪くない。

 

-

 

サラ・モーガン、アンドロメダ・ケプラー、私の3名体制となった船は(あ、ロボットもいるか)、海王星停泊軌道に到達した。惑星のリングのかなり外側だが、岩石がゴロゴロしてる。かなりの密度だ。トラッキングマーカーを正面に捉えると、船体が確認できた。ヴァンガード、モアラ・オテロの船だ。ようやく見つけたぞ……!

 

 

オテロの船は徐々に近づいて来る。向こうもこちらを認識したようだ。サラが何か言って向こうと通信を始めたようだが、石っころをよけるのに集中していてよくわからない。オテロの船は増速しているようで、どんどん近くなってくる……。一瞬、わずかな閃光が見えたかと思うと、衝突音とともにこちらの船が大きく揺れた。船体が回転しだし、シールドのインジケーターが赤くなっている。この衝撃、質量弾による攻撃だ!

 

またかよ! オテロの船が接触ぎりぎりのコースを駆け抜け、後方へと過ぎ去っていく。いきなりの発砲は慣れっこだが、今回は海賊や傭兵に襲われたんじゃない。植民世界の治安を守るヴァンガードの船から攻撃を受けたのだ! ひどいだまし討ちだ。あっという間に見えなくなったオテロの船を補足するため、こちらも小さな岩にガンガンあたりながら180度回頭を試みる。奴め、このままの増速で遷移軌道に移られたら、これまでの苦労が水の泡じゃないか。となりではサラが無線でオテロの船と怒鳴りあっているが、とてもじゃないが聞いている余裕はない。青い惑星が視界の下に沈み、45億km離れた太陽の弱い光が正面に回ってくる。

 

見つけた! オテロの船の影が、白い恒星光の中に浮かび上がった。しかし奴の船も反転機動をかけ、こちらを正面に捉えようとしている。インターセプトコースだ。再び敵の砲門と正対する。やられる前にやらなければ、海王星の冷たいリングの一部になってしまう。迷う間はない。敵船がターゲットサークルの中に入った瞬間、こちらの質量弾、レーザーを同時発射し、更にミサイルで追い打ちをかけた。直撃! 通信でオテロが何かわめいている。「船を乗っ取られた! 助けがいるんだ!」ああそうかい! ……ええ?

 

 

-

 

こちらのミサイルで防御スクリーンが喪失すると、オテロの船の動きは止まった。完全に破壊してしまわなくてよかった……。慎重に速度を合わせて至近距離に船を寄せ、べロウズを伸ばして奴の船とドッキングする。そこそこの大きさの船だ。中に入ると、案の定スペーサーの連中が待ち構えており、白兵戦となった。まあこれは予期していたことだ。閉鎖空間での戦闘はおっかないが、なんとか相手を倒し、船のブリッジまで進むと、へたりこんでいだモアラ・オテロと目が合った。

 

 

放射線焼けした浅黒い肌に黒い髪。背も高い。モアラ・オテロは、見方によってはなかなかの色男だ。しかし今は、疲れ切ったペテン師の顔に見えた。お前に会うためにどれだけ苦労したことか……。話を聞くと、彼は彼で考えがあって、海王星領域にスペーサーをひきつけ一網打尽にしようとしていたらしい。馬鹿な考えだが、星間領域に人生を呑み込まれると、そんな風に思考回路が働いてしまうのかもしれない。

 

ベラベラとしゃべるオテロをモーガンが止める。「パトロール中に不思議なものを見つけたそうね?」そうだった。こちらの目的はアーティファクトだ。そこで気づいた。喋ってるオテロの後ろに浮いてあれ……、アーティファクトじゃない?

 

 

火星、金星、月、海王星と廻った長旅の末、目的のアーティファクトはあっけなく見つかった。オテロは拾ったアーティファクトを宇宙船の装飾に使おうとしていたようだ。装飾ったって、こんなもんどこにつけるんだ。ブリッジの上に立てれば3倍速く加速できるとでも思ったのか。

 

ともかく、コンステレーションの一員として最初のミッションはクリアーだ。ニューアトランティスのロッジに持ち帰えろう。

 

船に戻ると、アンドロメダ・ケプラーはぐうぐう寝ていた。根性の座ったクルーが2人に増えた。

 

 

操舵席から外をみると、太陽系の惑星が一列に並んでいる。ずいぶんと"外"に来たんだな……。人類の故郷を一望しながら。軌道を離れた。