Starfield 航星日誌

スターフィールドのプレイ日誌です。ネタばれあり。あしからず。

ノヴァ・ギャラクティク・スターヤード - ソル星系 地球

航星日誌:23308.2

モアラ・オテロを追って地球の月に到達した我々は、かつてのアポロ11号着陸地点で傭兵集団エクリプティクとの戦闘を経験した。不幸な誤解が招いた状況だ。今後の遺恨とならないことを祈る。月軌道に戻り、本来の目的地であるノヴァ・ギャラクティク・スターヤードの調査を開始する。

 

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軌道ステーションのせまっ苦しいオフィスユニットで、目の前を自動小銃の弾丸が左右に飛び交っている。これは一体何なんだ。

 

月軌道に浮かぶノヴァ・ギャラクティク・スターヤードに船を接舷し、私はモーガンと共に内部に侵入していた。ノヴァ・ギャラクティクは世界で最初の恒星間移民船を開発した企業だが、その操業は遥か昔に止まっている。多層のトラスとコンテナで出来た軌道施設の構造は現代のものと変わらないが、ドライドックに係留されているのは、大気圏内用のSSTをそのまま宇宙に持ってきたような流線形のスペースプレーンだった。世代の旧さを物語っている。

 

 

エアロックを抜け内部に入ると、死体に出迎えられた。無法者が跋扈しているとは聞いていたが、その通りのようだ。重力制御は効いている。銃を構え、そろそろと奥に進むと、内装がめちゃめちゃに荒らされたオフィス兼商談スペースのブロックに出た。そこで目に飛び込んできたのが、銃撃の嵐だった。

 

しかし状況はこれまでの遭遇戦と明らかに異なっている。飛び交う弾丸はこちらを狙っていない。誰が撃っているのかは目視できないが、弾丸は部屋の右手と左手のあいだを飛び交っている。二手に分かれて殺し合いをしているようだ。

 

物陰に屈んで少し観察をしていると、銃撃が弱くなるタイミングがあり、そのたびにドタドタと通路を行きかう気密服姿を着た兵士の姿が何度か見えた。システムが彼らに付けたタグを見ると、スペーサーとエクリプティクの2つの派閥が交戦しているようだ。事態が呑み込めてきた。スペーサーは武装浮浪民ともいえる集団、エクリプティクは傭兵組織だ。両者の立場から推測すれば、空になったこのスターヤードを占拠していたスペーサーに、何者かの目的を持ってエクリプティクが襲撃をかけている、といったところだろう。

 

何にせよ、とんだタイミングで鉄火場に飛び込んでしまった。いったん撤退して様子を見たいが、中にいるはずのモアラ・オテロの状況も気になる。彼に死なれては困るのだ。このまま少し待てば互いに頭数を削りあってくれるか……と、その時、通りかかったエクリプティクがこちらを振り返った!

 

気づかれたか? 奴らとは月面で遭遇戦をこなしたばかりだ。データが回っているとマズい。敵認定される……と思った瞬間、後ろから弾丸が飛んできた。振り返るとモーガンがすっくと立って、銃を構えていた。この馬鹿! こっちから仕掛けたら何にもならないじゃないか!

 

今まで気づいていなかったが、モーガンは気密服すらつけていなかった。特攻隊じゃないんだから。しかしモーガンは反撃も気にせずそのままガスガスと拳銃を打ち続ける。正面のエクリプティクが倒れこむと同時に、センサーは周囲を回遊していた敵兵がいっせいにこちらに集まりだしたのを検知した。毎回あれほどやめてくれと思っていたのに……。こうなっては、やるしかないじゃないか!

 

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もはや相手がエクリプティクなのかスペーサーなのかもわからない。左右、そして後ろからも襲ってくる敵を一体一体片づけて、ようやく周囲が静かになった。周囲を警戒しつつ、医療キットを使ってダメージを回復させる。惑星上の拠点での戦闘と違って、こういう狭いところでマシンガンはやはりコントロールが難しい。すぐに拳銃かハンドアックス(レスキュー用のものを使っている)を装備できるようにしておかなければ。

 

ふと周りを見ると、モーガンはオフィスの隣の食堂にどっかりと腰を降ろし、テーブルにあったサンドウィッチを食べていた。どういう神経してるんだこいつ。エサを探しに来た熊か。

 

 

いったんスターヤードの奥深くに侵入し、研究室、医療室、開発チャンバーとモアラを探してく。部屋を移るたびにスペーサーやエクリプティクに襲われ、ステーションの空気にミスト化した血が混じっていったが、肝心のモアラの姿はどこにもなかった。そして、ようやくある部屋のデスクに置かれたスレートに気づいた。

 

スレートに残された音声ログを開くと、モアラの声だった。奴はスペーサーに隠れてこのステーション内に入り込み、必要な物資を盗むとその足で海王星に向かったらしい。海王星⁉ ここから30天文単位も離れてるじゃないか!

 

スレートを床にたたきつけたくなった。なんたる徒労感。無駄な殺しに関与してしまった罪悪感。少し心が折れそうだが、仕方ない。せめて、この太陽系惑星めぐりの旅が自分の成長につながってくれれば……。そう思ってモーガンの方を振り向くと、彼女はいつもの仏頂面でこう言うのだった。「よし、次は海王星ね」わかってるよンなこたぁ!